2011/03

『明治大学教養論集』第470号

・畑中基紀「「『門』を評す」の批評宣言」
 

『KGU比較文化論集』第3号

・匡伶「蒔岡家の四姉妹─「細雪」への一視覚─」
 

『言語社会』第5号

・アンヌ・バヤール=坂井「一人称のフィクションとノンフィクション―谷崎潤一郎の場合―」
※特集:生表象の動態構造 虚構と現実のあいだ―作家はエクリチュールにいかなる仕掛けをほどこすのか

『京都大学國文學論叢』第25号

・中村ともえ・三嶋潤子「〈谷崎源氏〉考(一)―『潤一郎新訳源氏物語』愛蔵本における改訂に関する調査報告―」

[要旨]谷崎潤一郎による『源氏物語』の現代語訳、いわゆる〈谷崎源氏〉には、「旧訳」、「新訳」、「新々訳」の三種類の訳がある。「旧訳」を改訳して成立した「新訳」は、五つの刊本として刊行されたが、そのうち愛蔵本(昭和三十年刊)の段階で訳文の改訂が行われた。改訂箇所は巻一・ニ(「桐壺」~「胡蝶」)に多く見られる。我々の共同研究では、この愛蔵本での改訂の実態を調査・分析し、それを「旧訳」から「新訳」へ、「新訳」から「新々訳」へという〈谷崎源氏〉の一連の改訳の流れの中に位置付けることを目指している。今回の論文では、問題提起と、「桐壺」から「末摘花」までの本文の異同を一覧表にして提示した。以下の帖の異同は、次号の「京都大学国文学論叢」に発表予定である。【中村ともえ・三嶋潤子】 

『奈良教育大学 国文―研究と教育』第34号

・日高佳紀「メタフレーズとしての読むこと―〈文学を教える〉と〈文学で教える〉の間―」
 
[要旨]客員教授として赴任したエル・コレヒオ・デ・メヒコ(メキシコ大学院大学)での谷崎潤一郎の英訳テキスト"Naomi"(=「痴人の愛」)"Quicksand"(=「卍(まんじ)」)を用いた教育実践から考えたことをまとめた。両作品が英訳される際に消えていく日本語原文テクストの表現上の特質は、メタフレーズ(逐語訳、置換訳)に留まって作品言説を読むことで浮かび上がらせることができる。こうした実践は、〈文学〉“で”何かを教える際の、意味内容重視に偏りがちな〈文学〉教育を見直す契機となり、ここから、〈文学〉“を”教えることの可能性について考えた。【日高佳紀】

『物語文学論究』第13号

・大津直子「『源氏物語』から谷崎源氏へ―削除された「薄二藍の帯」の表現性について―」

[要旨]本論は、昭和14年に刊行が開始した〈旧訳〉「賢木」巻の密会露見の場面において、光源氏の「薄二藍なる帯」が削除された意義を、日本文学における帯の文芸性の分析を通して明らかにした。〈旧訳〉起筆時、谷崎は、当時の社会通念に抵触する危険がある官能的な箇所を、上手く朧化・削除すること、むしろそれによって物語の「色気」を増幅させることを書簡で述べている。これは、長らく削除行為の主体と考えられてきた校閲者山田不在の禁忌コードであり、谷崎文学の根幹をも貫く重要な発想である。本論は、一つの言葉の削除の検証をふまえ、谷崎が原文を基盤としながらも自らの創意をもって『源氏物語』に挑んでおり、〈旧訳〉が新たな表現世界を形成していると結論付けた。
【大津直子】 

『日本文藝學』第47号

・福田博則「谷崎潤一郎「聞書抄」から「少将滋幹の母」へ―共通部分と進化について―」

[要旨]本論では「聞書抄」と「少将滋幹の母」について論じる。「聞書抄」は「聞き書きのまた聞き書き」という複雑な形式を取って書かれている。このこと
によって、女主人公である「一の台の局」の性的に生々しい境遇を巧みに包み隠すことに成功している。しかしそれは同時に、主人公である順慶の、女人に対す
る苦悩という、谷崎が描きたい部分が不十分になるという副作用を生みだしてしまった。この、女人に対する苦悩という部分が「少将滋幹の母」で強烈に描かれ
ることになるのである。「聞書抄」は高い評価を受けた作品ではないが、「少将滋幹の母」につながる、女人への苦悩というテーマを導き出した点、その特異な
形式という点で、大きな意味がある作品であったといえよう。【福田博則】 

『近代文学 研究と資料』第2次第5集

・吉田詩織「「私」と「河合譲治」が出会うとき―谷崎潤一郎『痴人の愛』論―」

・林貴祐「想起への希求―谷崎潤一郎『春琴抄』論―」
 

『愛知淑徳大学国語国文』第34号

・竹内瑞穂「「流動」する「変態」―谷崎潤一郎「鮫人」の逸脱者イメージ ―」



『国文学踏査』第23号

・平山城児「谷崎潤一郎の『梅ノ谷の家」をめぐって」
 
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2016年度をもって閉会した谷崎潤一郎研究会の公式HPを引き継いで設置。
谷崎潤一郎(1886-1965)および周辺の文学・文化に関する研究の情報提供を行う。

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