2015/03

『資料と研究』第20輯(山梨県立文学館)

・千葉俊二「〈松子との初対面〉再々考─『谷崎潤一郎の恋文』の編集を終えて─」

・中野和子「谷崎潤一郎 石井秀平宛書簡、谷崎精二 石井秀平宛書簡、石井秀平 雨宮庸蔵宛書簡 翻刻」

『奈良教育大学 国文─研究と教育』第38号

・日高佳紀「〈狂気〉への回路─谷崎潤一郎「黒白」の読者と挿絵─」

  [要旨]谷崎の新聞連載小説「黒白」の挿絵に着目し、作中人物の幻惑が引き起こされる契機と、挿絵の機能によって読者が作中に描かれた〈狂気〉に巻き込まれていく過程を追い、視覚効果を中心としたモダン文化の一側面を捉えた。【日高佳紀】

「大谷崎展」~文豪と五人の女神~

芦屋市谷崎潤一郎記念館で、以下の展覧会が開催されます。

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2015年春の特別展 没後50年・文豪は時空を超えて
「大谷崎展」~文豪と五人の女神~


期間:2015年3月28日(土)~6月28日(日)
開館時間:10:00~17:00(入館16:30まで)
※月曜休館(ただし祝日は開館し、翌日休館)
※5月4日は開館し、7日は休館。
料金:一般400円 大・高生300円 65歳以上200円(団体割引あり) 小中学生無料

谷崎の最初の妻千代、その妹せい子、2番目の妻丁未子、3番目の妻松子、甥の妻千萬子の5人をミューズととらえ、関係資料約100点をご覧いただきます。

2014年秋に初めて存在が明らかになった谷崎関係書簡の中から、「妻譲渡事件」前後の事情がうかがえる1930年(昭和5年)の松子書簡2通、松子への谷崎の恋愛感情が最も高揚した1933年(昭和8年)の谷崎書簡3通を初公開するほか、『痴人の愛』自筆原稿、谷崎と千代、その再婚相手の佐藤春夫が連名で知人に送った「離婚挨拶状」、小出楢重による『蓼喰う虫』挿絵原画、『武州公秘話』自筆原稿、『春琴抄』漆塗り特装本などを展示。また、大正から昭和初期にかけての阪神間の風景や鉄道路線図、谷崎転居跡地図を紹介する「谷崎の生きた阪神間」のコーナーも設け、文豪の全体像を明らかにします。【芦屋市谷崎記念館・浪川知子】

【主催】 芦屋市谷崎潤一郎記念館 阪神沿線の文化110年展実行委員会
【後援】 読売新聞大阪本社 武庫川女子大学 大阪よみうり文化センター
兵庫県 兵庫県教育委員会 尼崎市 尼崎市教育委員会 西宮市 西宮市教育委員会 芦屋市 芦屋市教育委員会 神戸市 神戸市教育委員会
【協力】 中央公論新社 神奈川近代文学館 新宮市立佐藤春夫記念館

>>詳細はこちらをご覧ください。
>>イベントのチラシ(PDF)

『谷崎潤一郎対談集 文藝編』

永井荷風、吉井勇、里見弴、志賀直哉、川端康成ら、文学者仲間と心おきなく語り合う、青春、文学、映画や歌舞伎、そして女のこと。【出版社の紹介文】
***
目次
1 若き日 2 永井荷風と 3 旧友たち 4 志賀直哉と 5 後進たち 6 文学者たち

作家デビュー当時から最晩年にわたるまで、作家・批評家たちと文芸をめぐって語り合った対談・座談会が集められた。 谷崎が40名を超える文学者たちと縦横無尽に言葉を交わした「場」が甦る。対談それぞれに詳細な註が加えられているほか、巻末には「谷崎潤一郎  対談・座談一覧」を付す。(小谷野敦・細江光編、中央公論新社、5,400円+税)

『かほよとり』第15号(武庫川女子大学大学院文学研究科国語・国文学専攻院生研究会 )

・熊尾紗耶「『細雪』における雪子の自我」


『同志社国文学』第82号

・グレゴリー・ケズナジャット「アメリカにおける『陰翳禮讃』と『蓼喰ふ蟲』の紹介―谷崎潤一郎の英訳と「日本文学」の評価基準―」

[要旨]本稿は一九五五年に発表された『陰翳禮讃』と『蓼喰ふ蟲』の英訳にいたる過程を検討する。二作における日本像は、戦後アメリカで流通した日本像と同様に一九世紀のオリエンタリズムに基づいたものであることを指摘する。また、翻訳者エドワード・サイデンステッカーと編集者ハロルド・ストラウスが定義する「翻訳に値する日本文学」を確認し、その上で当時の英訳はどのように読まれたかについて考察する。【グレゴリー・ケズナジャット】

・佐藤未央子「谷崎潤一郎の映画受容(二)―「痴人の愛」を中心として―」

[要旨]大正中期における谷崎潤一郎の映画受容を分析するにあたり、本稿では「痴人の愛」(大正十三年~大正十四年)に焦点を当てた。ナオミが二重写しにされたさまざまな女優とその評価や位置付けについて、関連資料を用いて具体的に考察し、小説における当時の文脈を復元した。また映画観客としてのナオミの主体性や、「痴人の愛」が映画界に対して二重に同時代性を持つことを論じた。【佐藤未央子】

・李春草「谷崎潤一郎「人間が猿になつた話」と「白猿伝」の関連性についての 一考察」

[要旨]「人間が猿になつた話」は、谷崎が中国旅行準備中に著した短編小説である。その漢学知識と「支那趣味」からして、その創作と中国旅行との関連性が考えられる。〈美女が猿に見込まれて山奥に連れ去られた〉という内容からみると、中国の古典小説「白猿伝」との類似性が目に浮かび上がる。更に、創作前後、谷崎と芥川龍之介との交流や創作上の類似性からみても、谷崎はある程度芥川を意識して書いた作品ではないかと推測される。【李春草】
 

『愛知淑徳大学国語国文』第38号

・小林珠子「谷崎潤一郎『美食倶楽部』論─「美食」を語る裏にあるもの─」
 

『近代文学 研究と資料』第2次第9集

・高井祐紀「〈フィルム〉ダイアリーー谷崎潤一郎『瘋癲老人日記』と棟方志功ー」
 

『白百合女子大学言語・文学研究センター言語・文学研究論集』第15号

・姚紅「谷崎潤一郎と中国の伝統演劇」
 

『タイ国日本研究国際シンポジウム2014 論文報告書』

・西川貴子・日高佳紀「モダン文化と小説の視覚化表象─新聞連載小説における挿絵と物語言説の検討から─」

[要旨]1920年代の新聞連載小説、佐藤春夫「更生記」および谷崎潤一郎「黒白」を取り上げ、両作品の挿絵が読書行為に与えた影響を考察した。「更生記」は、物語内容を相対化する挿絵の仕掛けによって精神分析学的視線を読者に促す作品であり、また、「黒白」は、読みを限定する挿絵の構造によって作中人物の幻惑に読者を巻き込んでいく作品である。以上、近代における〈狂気〉を扱った作品の検討を通して、虚構と現実を曖昧化する挿絵の機能に、視覚効果を中心としたモダン文化の一側面を捉えた。【日高佳紀】
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2016年度をもって閉会した谷崎潤一郎研究会の公式HPを引き継いで設置。
谷崎潤一郎(1886-1965)および周辺の文学・文化に関する研究の情報提供を行う。

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