その美しさ、たおやかさ。谷崎によってしか、あの時代の「女の世界」は描けなかった――。
ほぼ同時代に書かれた永井荷風の『■東綺譚』と時に対比させながら、阪神間を舞台としつつも、大阪の男の世界から離れた女性たちの物語として、『細雪』の世界を訪ね歩き、註をつけるように読んでいく。『荷風と東京』『林芙美子の昭和』などに続いて、昭和十年代の風景が練達の筆に甦る。(※■…さんずいに墨)【出版社のサイトより】
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ほぼ同時代に書かれた永井荷風の『■東綺譚』と時に対比させながら、阪神間を舞台としつつも、大阪の男の世界から離れた女性たちの物語として、『細雪』の世界を訪ね歩き、註をつけるように読んでいく。『荷風と東京』『林芙美子の昭和』などに続いて、昭和十年代の風景が練達の筆に甦る。(※■…さんずいに墨)【出版社のサイトより】
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かつて『中央公論』に連載(2000年4月号〜2007年6月号)されていた連載に、修正といくつかの書き下ろしを加えられてまとめられた書。太平洋戦争が開戦される1941年の春までのおよそ6年間を物語の時間とする『細雪』がどのような時代背景の上に設定されているのか。作品内容に即したさまざまな切り口から、時代と物語の交差するさまがあざやかに浮かび上がる。以下に目次を掲げることで、その多様な時代の相を示しておこう。
(目次)
(目次)
一 女が育てた阪神間文化
二 船場という共同体
三 モダン都市大阪の活気のなかで
四 阪神間の文化と神戸
五 モダン都市神戸と谷崎の夢
六 神戸で映画を楽しむ蒔岡姉妹
七 モダンガール四女、妙子
八 妙子の挫折と受難
九「芸術写真」を志した板倉
十 外国人との交流と別れ
十一 東京での鶴子一家の暮らし
十二 芦屋と東京を行き来する雪子
十三 縁結びの美容師・井谷
十四 阪神大水害
十五 愛敬者、お春どんの明るさ
十六 美しき桜と蛍と雪子
十七 迫り来る戦争の影
十八 病気小説としての『細雪』
終章 戦争への道
>>出版社のサイト
(川本三郎著、中央公論新社、2,400円+税)
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