2020/12

『『細雪』とその時代』

『細雪』とその時代その美しさ、たおやかさ。谷崎によってしか、あの時代の「女の世界」は描けなかった――。
ほぼ同時代に書かれた永井荷風の『■東綺譚』と時に対比させながら、阪神間を舞台としつつも、大阪の男の世界から離れた女性たちの物語として、『細雪』の世界を訪ね歩き、註をつけるように読んでいく。『荷風と東京』『林芙美子の昭和』などに続いて、昭和十年代の風景が練達の筆に甦る。(※■…さんずいに墨)【出版社のサイトより】
* * * 
かつて『中央公論』に連載(2000年4月号〜2007年6月号)されていた連載に、修正といくつかの書き下ろしを加えられてまとめられた書。太平洋戦争が開戦される1941年の春までのおよそ6年間を物語の時間とする『細雪』がどのような時代背景の上に設定されているのか。作品内容に即したさまざまな切り口から、時代と物語の交差するさまがあざやかに浮かび上がる。以下に目次を掲げることで、その多様な時代の相を示しておこう。
(目次)
一 女が育てた阪神間文化 
二 船場という共同体 
三 モダン都市大阪の活気のなかで 
四 阪神間の文化と神戸 
五 モダン都市神戸と谷崎の夢 
六 神戸で映画を楽しむ蒔岡姉妹 
七 モダンガール四女、妙子 
八 妙子の挫折と受難 
九「芸術写真」を志した板倉 
十 外国人との交流と別れ 
十一 東京での鶴子一家の暮らし 
十二 芦屋と東京を行き来する雪子 
十三 縁結びの美容師・井谷 
十四 阪神大水害 
十五 愛敬者、お春どんの明るさ 
十六 美しき桜と蛍と雪子 
十七 迫り来る戦争の影 
十八 病気小説としての『細雪』 
終章 戦争への道
>>出版社のサイト 
(川本三郎著、中央公論新社、2,400円+税) 

『花園大学日本文学論究』第13号

・福田博則「谷崎潤一郎「卍」論─人物像の変遷について─「女学生ことば」使用の観点から」
 
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